春一番とは?わかりやすく解説!データでどんな変化があるのか?

春一番が吹く理由を図で解説しました!わかりやすくしています。
春一番が吹いた後どうなるのかも併せてご紹介!

春一番とは?わかりやすく解説!データでどんな変化があるのか?~その定義~

まずはその定義から解説していきます。
とってもシンプルに言えば、「立春を過ぎてから風が強い日」のことを指します。立春以前に風が強くても「春一番」とは呼びません。
またこの風の強さには地点などによって数字の違いはありますが、
最大風速8m以上のことが多いようです。
今年は1951年の観測開始以降「過去最速」での春一番ということで話題になりました。
立春が2月3日なので、2月4日に風が強くなれば史上最速も当然ですね…。
今後も2021年が史上最速であり続けるのは間違いありません。

春一番とは?わかりやすく解説!データでどんな変化があるのか?~実際の天気図~

何故このような風が強く吹くのか、どうやって予想するのかを実際の天気図を観ながら考えてみます。




2月4日の地上天気図を3時間毎の推移で出してみました。
(一部、日付が切れて見辛くなっててすみません)
注目したいのは9時~12時にかけての前線を伴った低気圧の動きです。
北半球の気象の特性として、低気圧の中心に向けて反時計周りに風が吹き込みます。(南半球は逆回り)
この天気図では等圧線(気圧が同じ地点を結んだ線。山などの等高線と概念は同じ)に対して、ほぼ垂直に風が吹き込んでいき、
等圧線の間隔が短ければ短いほど風が強く吹くことになります(山の等高線で言えば、等高線が密になっているほうが山の傾斜が急なのと同様で、傾斜を風が転げ落ちてくるイメージをしてもらえればイメージしやすいかと思います)。


図で言うと赤い矢印が、風の吹き込んでいく方向となります。この方向の為、関東地方では強い南西風が吹くことになりました。
またこの風は南からの温かい空気を含むことが多い為、概して春一番が吹くときは暖かい気候となる可能性が高いと言えます。
2021年はこの気圧配置になるのが、暖かい空気が優勢になってくるよりも早かった為にそこまで気温が上がりきりませんでした。(東京で約13度ほど)
が、相対的に言えば(大陸からの高気圧が張り出してくる、いわゆる”西高東低”の気圧配置による強風のときと比べれば)温かい空気となる為、「春一番」という呼び名も納得と言うことになります。

一方、春一番が吹くときは日本全国暖かくて天気がいい…とはなりません。
この天気図には低気圧がある…ということはどこかが天気の悪い地域が出てくることになります。
それはこの低気圧に沿って存在する寒冷前線の北側のエリアになります。
(図中の青い四角のエリア)

実際、2月4日は北日本・北陸地方で降雪が観測されています。
寒冷前線自体、温かい空気と冷たい空気とがぶつかって形成されていくものなので、寒冷前線の北側では温かい空気が冷たい空気によって押し上げられて雲となり降雨・降雪を引き起こします。特にこの季節はその寒暖の差が激しくなりやすい為、前線を挟んだ南北で異なった天気が観測されやすいということになります。

春一番とは?わかりやすく解説!データでどんな変化があるのか?~今後の展開について~

春一番が吹いた後は、傾向としては寒さが戻って曇りや雨となりやすいと言えます。
理由は前述した図の青いエリアに該当する部分が、徐々に東進し、冷たい空気が(今回のケースで言えば)関東地方にやってくるケースが往々にしてあります。
実際2月4日の夕方以降~夜の段階では関東地方も北風となり、東京の2月5日の朝の気温は1.9℃を記録しています。
例年であれば”三寒四温”ということで関東地方にもまた寒い日がやってくる…はずでした。
が、2月5日の関東地方はそんなに寒い日にならず、東京では最高気温12.4℃を記録しています。
春一番の吹いた2月4日の最高気温が12.6℃ですから殆ど変わりません。

これには理由があります。

2月4日15時の段階の天気図ではこのようになっており、寒冷前線が通過し関東地方も天気が悪くなる…ように見えますが、
大陸からの高気圧の矢印の向きに注目してみてください。
南東向きに進む予想となっています。

このあとこの高気圧はドンドン南東に進んでいきます。


このように進んだ結果、日本の南にいる高気圧の影響が大きくなりました。
高気圧の中心から噴き出してくる風(北半球では時計周り)が南からの風となり暖かい空気を静穏な風と共に運んできた為、穏やかな良い天気となりました。

等圧線も間隔が広くゆるやかな為、風が強くなることもありませんでした。

正直、ちょっとレアなケースだと思います…。

今後については暖かい空気と冷たい空気の境界線が停滞前線として↑の図にも観測されていますが、この停滞前線が日本の南にある間は九州の南や沖縄付近で雨になりそうです。
そしてまた朝鮮半島にある低気圧が2月4日のように寒冷前線を形成すると思われるので、7日か8日は2月4日のように風が強くなることが予想されます。

このように、春一番が吹くと、3~5日後に「春二番」とも呼べるような似たような気圧配置になることが多いと言えます(これまでの経験的に)。
言葉としては「春二番」は存在しませんが、日本の南からの温かい空気が徐々に日本に近づいてくることによって、前線が形成され…という流れはこれから何日間かにわたって繰り返されていきます。
(同時にスギを筆頭とした花粉も舞い始め、時にはその強風で花粉症の人を辛い目に遭わせますね)

春一番とは?わかりやすく解説!データでどんな変化があるのか?~まとめ~

春の訪れを知らせる春一番のメカニズムを解説してきました。
「過去最速」と聞くと次に連想するのは「地球温暖化」というキーワードが出てくるかと思います。
絶対に関係がある!とはまだまだ言い切れませんが、個人的にはかなり影響があるのではないかと考えています。
理由としては「温かい空気と冷たい空気がぶつかって寒冷前線が出来る」ことにあります。

この「温かい空気」が出現してくるのが例年よりも早かった、
だから寒冷前線がこうした形で生まれるに至った、
よって過去最速の春一番となった…、

この「温かい空気」の元になったのは地球温暖化が原因の可能性が高いと言えます。
また気象予報士の森田実さんによると、
「ラニーニャ現象が起きると高気圧の配置が変わる」
「2020年春先からラニーニャ現象が起こっていた可能性が高い」
とのことだったので、2月5日のように高気圧の動きが変わることにも注目していったほうが良さそうです。

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