サガン×レッズ 戦術レビュー&データ集

サガンの素晴らしい戦術と戦いぶり、成長段階にあるレッズの模様をレポート。
Jリーグ2021の第2節の注目カードをレビューします!

サガン×レッズ 戦術レビュー&データ集
-見どころと概要-

サガンの熟成された戦術と、リカルド・ロドリゲス監督の戦術の成長過程にあるレッズとの激突。
球際の激しい争いが繰り広げられる対戦はサガンに軍配が上がりました。
サガンのチーム戦術の完成度や、選手たちのインテンシティの高さが勝利を呼び込んだ大きな要素でした。
レッズも狙いはハッキリしていたものの、最後の崩しが足らず無得点での敗戦となりました…。無得点ではありますが、成長過程ということもあり、次節以降に期待したい内容でした。

サガン×レッズ 戦術レビュー&データ集
-サガンスタメン&サブ-

監督
金 明輝

GK
朴40

DF
RSB飯野24
RCBファンソッコ20
LCBエドゥアルド3
LSB中野47(→OUT 79分)

MF
OH仙頭44(→OUT 79分)
DH松岡41
RSH樋口10
LSH小屋松22(→OUT 59分)

FW
CF林8(→OUT 74分)
CF山下9

サブ
守田1
田代30(→IN 79分)
大畑31
島川4(→IN 79分)
酒井15
本田23(→IN 59分)
石井19(→IN 74分)

サガン×レッズ 戦術レビュー&データ集
-レッズスタメン&サブ-

監督
リカルド・ロドリゲス

GK
西川1

DF
RSB宇賀神3
RCB岩波4
LCB槙野5
LSB山中6

MF
RDH伊藤17
LDH阿部22
RSH田中11(→OUT HT)
LSH汰木24(→OUT 78分)
OH小泉18(→OUT 78分)

FW
CF杉本14

サブ
鈴木12
金子19
大久保21
柴戸29
武田37(→IN 78分)
武藤9(→IN 78分)
明本15(→IN HT)

開幕からは明本選手→田中選手の変更のみ。顔ぶれもシステムも大きな変更はなし。

サガン×レッズ 戦術レビュー&データ集
-サガン戦術-

守備時は4-4-2もあれば、5-3-2ないし5-2-3もあり…。
仙頭選手の位置取りが状況によって変わり、プラス、
両SHをSBの斜め前まで下げて来るときもあり(一時的に5バック気味になる)。
相手の出方次第で立ち位置を変えていました。
レッズのビルドアップが2CBのみで実施されると思えば仙頭選手が前に出てきて、3枚になり、
2CB+阿部選手でのビルドアップになると判断すると前は2枚だけになってコースを限定して、5バックの優位を生かす…。
試合後の金監督が「相手のビルドアップに上手く対応できた」と語っていましたが、「とても上手く対応できた」と言えるでしょう。

攻撃時はRSHの樋口選手が中に絞って入り込んで、カットインからのシュートを狙いつつ、RSBの飯野選手を前に出して数的優位を作る形が奏功していました。
左からも、中野選手のキック精度の高さを使って、前線に斜めのボールを入れることで前半30分過ぎのチャンスなどを作っていました。
前半だけで15回以上のスプリント回数を記録する選手が多かったことや、それがサイドの選手だったことからも、状況に応じて立ち位置を変える為に選手たちがインテンシティ高く戦ったことがうかがえます。
試合を通じて両チームトップのスプリント回数29回を記録した樋口選手、同2位の27回を記録した飯野選手は同じ右サイドに位置した選手でした。
サガンが左に寄せておいて、オープンな右から勢いよく突破しようと試みていたことがわかるデータです。

こうしたスプリント回数の多さに表れるように鳥栖伝統の球際の強さが引き続き存在し、そこにプラスアルファして、前述したように柔軟にやり方を変えて相手を混乱に陥れようとする動きが非常に有効でした。
仙頭選手と樋口選手の運動量の多さと両SBの攻守のバランスの良さがあればこそ出来るチーム戦術です。
相手の出方に応じてやり方を変えることができて、どのやり方でもクォリティが落ちない、というのはここ最近の世界の潮流ですが、鳥栖は上手くこのトレンドに乗れているように思えます。ケガ人や、中野選手などの移籍がなければこの先のシーズンも優位な試合が増えていきそうです。

サガン×レッズ 戦術レビュー&データ集
-レッズ戦術-

守備時は4-4-2でリトリート気味にサガンの攻撃を待ち構えます。
相手ボールがセンターサークル近辺に来るまで待ち構える…が徹底されていたようでした。
ここは想像に過ぎませんが、(かなり徹底されたリトリートであることから)
相手選手の多くを自陣に呼び込んで、そこからのSBの裏を狙うプランだったのではないでしょうか。そのぐらい相手を呼び込む意識が高かった、プラス、攻撃のことを考えると、この呼び込みのメリットは相手陣地にスペースを作ることにあると思います。
実際、汰木選手のアウトサイド浮き球→杉本選手のインサイドパス→汰木選手の抜け出しからチャンスになりかけたシーン等、汰木選手が抜け出すシーンが多々ありました。
恐らくこうしたシーンを多く作りたい、という意図がチームとしてあったように予想します。

結果的に無得点に終わり、開幕戦がセットプレーからの得点だったことから、「流れの中からの得点がない」ことになってしまいました。
(まだ2試合しかやっていないので)最後の箇所の崩しがなかったことによりますが、まだこの辺りはチームの伸びしろ…といったところでしょうか。。。
この先としては、
・選手個人が成長することで、選手の閃きと個人戦術で崩し切る
・点を獲ることに特化した選手を獲得ないしは興梠選手の復帰で崩すアイディアを増やす
・OHの選手が下りて空いたスペースを両SHが使う意識が浸透し始めてきているので、そこからの崩しのバリエーションを監督が用意する
という分岐が考えられます。
3つ目に個人的には期待していますが、現状はシュートまで持っていく2段階前までが整備されてきている…という印象です。
この試合では敢えて徹底したリトリートを選択していましたが、その狙いが1つ目や3つ目の熟成のための布石のような気がします。
このリトリートを毎試合で採用するかどうかも含めて今後に注目しましょう。
またビルドアップの仕方や、SBの使い方にも今後工夫をしてくると思われるので、どのような修正を施すのか3節以降が楽しみです。

サガン×レッズ 戦術レビュー&データ集
-サガン監督コメント-

〇試合前
-ホーム開幕戦。チームでどんなところを表現したい?
「前節勝ち切れたので、その勢いで臨みたい」

-スピード感が昨シーズンからの上積みとして話していた
「まだ開幕して1試合。表現できるところもあるし、出来なかったところもある。年間を通じて表現できると思うし、それがうり。それが表現できれば勝機が出てくる」

-対浦和。どんな準備を
「あまり相手気にしてどうこうではない。自分たちの良さを出しながら。相手の強さを出させないように。ボールを大事にしたり、ポジショニング大事にしたりとか。その辺も僕らがどのように対応できるか」

〇試合後
-勝利おめでとうございます。振り返りは?
「チームスタッフ、コーチ陣、会社の方、選手が一体となって、このサポーターの最高の雰囲気を背にして、みんなで勝ち取った勝利だと思います」

-スタートから立ち位置の優位性。優勢を図りたかったのは?
「徳島の(※浦和の間違い。或いは監督の顔から…?)ビルドアップに対して怖がらずに上手く対抗できた。複雑なものでもないし、僕たちは対応できると思っていたし。最後、自分たちの時間を長くできるようなマネジメントが出来れば良かったが、充分だったと思います」

-後半、本田選手が入ってから得点が生まれました。どういった狙いを以て投入だったのでしょうか?
「相手の右サイド。ほころびが生まれていたので、そこにポイントのできる攻撃のできる選手を入れて、形がたまたまですけど、形になってよかったと思います」

-2連勝。更に無失点となりました。この辺りの手ごたえは?
「たまたまだと思いますし、もっともっと高めていかないとならないと思います。この勝利をしっかりかみしめて、すぐ切り替えて次のゲームに臨みたいと思います」

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-レッズ監督コメント-

〇試合前
-公式戦2試合を終えて引き分け。手ごたえは?
「今は全員が成長している段階。これから積み重ねていく部分。この2試合はいいパフォーマンスを見せてくれた。現状、いい積み重ねが出来ている」

-今日のゲームで勝ち点3はどういったところがキーになってくるか?
「彼らはインテンシティの高いチーム。我々はそこで負けないように、前回の試合同様戦えるように。連携もかさねていきながら」

〇試合後
-0-2での敗戦。振り返って
「今日は負けではなく、勝ちでもなく引き分けが妥当。0-0の段階でゴールのチャンスもあった。最後のところ、決定力が描けてしまった。チームが戦って、負けている段階での、チャンス、同点になるところを決めきれず、ゴールは微妙なところで左右される。それが敗因。あれがファウルがあったのかなかったのかはわかりませんが。0-2になってからも戦えていた。鳥栖のような前からくる、簡単ではない難しい相手に対していい時間帯もあった。いいところも引き続き継続していければと思います」

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-サガンデータ前半まとめ-

0得点
シュート7
枠内シュート3
ボール支配率54%
パス222本(85%)
オフサイド1
コーナーキック3
ファウル8
警告2

〇走行距離
6.1㎞松岡41
5.9㎞小屋松22
5.8㎞仙頭44
5.6㎞中野47
5.5㎞樋口10

〇スプリント回数
17回小屋松22
15回山下9
15回飯野24
13回中野47
12回樋口10
12回林8

サガン×レッズ 戦術レビュー&データ集
-レッズデータ前半まとめ-

0得点
シュート5
枠内シュート3
ボール支配率46%
パス180本(77%)
オフサイド0
コーナーキック2
ファウル3
警告/退場 0

〇走行距離
6.5㎞小泉18
5.8㎞田中11
5.6㎞阿部22
5.6㎞伊藤17
5.5㎞汰木24

〇スプリント回数
15回田中11
14回杉本14
14回汰木24
13回小泉18

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-サガンデータ試合通算まとめ-

2得点
シュート14
枠内シュート10
ボール支配率50%
パス471本(80%)
オフサイド1
コーナーキック5
ファウル11
警告2

〇総走行距離
GK朴7.0㎞
DFファンソッコ11.0㎞
DF飯野11.9㎞
DFエドゥアルド10.8㎞
DF田代1.8㎞
DF中野9.6㎞
MF樋口12.1㎞
MF小屋松7.7㎞
MF本田4.3㎞
MF島川2.1㎞
MF松岡12.7km
MF仙頭10.0㎞
FW石井3.0㎞
FW林9.2㎞
FW山下11.7㎞
チーム合計125.0㎞

〇スプリント回数
GK朴2回
DFファンソッコ11回
DF飯野27回
DFエドゥアルド11回
DF田代0回
DF中野14回
MF樋口29回
MF小屋松24回
MF本田6回
MF島川1回
MF松岡15回
MF仙頭18回
FW石井6回
FW林19回
FW山下31回
チーム合計214回

サガン×レッズ 戦術レビュー&データ集
-レッズデータ試合通算まとめ-

0得点
シュート11
枠内シュート5
ボール支配率50%
パス460本(76%)
オフサイド1
コーナーキック4
ファウル8
警告0

〇走行距離
GK西川4.9㎞
DF宇賀神10.7㎞
DF岩波9.7㎞
DF槙野10.4㎞
DF山中10.5㎞
MF田中5.8㎞
MF伊藤11.8㎞
MF小泉11.1㎞
MF阿部12.0㎞
MF汰木9.5㎞
MF武田2.4㎞
FW杉本11.4㎞
FW明本6.4㎞
FW武藤2.3㎞
チーム合計119.0㎞

〇スプリント回数
GK西川3回
DF宇賀神20回
DF岩波4回
DF槙野6回
DF山中22回
MF田中15回
MF伊藤16回
MF小泉20回
MF阿部16回
MF汰木24回
MF武田8回
FW杉本20回
FW明本17回
FW武藤4回
チーム合計195回

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